今日はADHDについて、最近の知見を含めて簡単にまとめてみました。
・ADHDってなに?
ADHDとは、「注意欠陥多動性障害」と訳されるように、ある対象に注意を向けようとしても、注意し続けることが難しくなる疾患です。
実はこの疾患の原因として、先日このブログで紹介したノルアドレナリン(NA)とドーパミン(DA)が関与しているという考え方があります。
・DAとNA
ニューロンは、神経伝達物質(DAやNAなど)を放出することで情報を次々に伝えていますが、同時にこのニューロンは、放出した物質を回収するトランスポーターを持っています。ADHDではこのトランスポーターの働きが過剰に働いているため、NAとDAの作用が弱くなっていると考えられているのです。
・治療法は?
もちろん治療法はありますが、それはリタリン(←本当に今も使っているのか)という薬(麻薬?)による対症療法です。このリタリンは、先日紹介したコカインと同様の働きをする物質で、トランスポーターに結合することでDA・NAの再取り込みを阻害するのです。
・最近の知見
精神疾患と脳の容積との関係はよく注目されることですが、ADHDでもこの関係が調べられています。ADHDでは、前頭葉と側頭葉の灰白質・尾状核・小脳の容積が小さくなることが知られており、その症状との関連が強い部位として興味深い結果になっています。
・個人的な興味
ADHDが未熟児に多いこと、脳の容積が減少すること、DAやNA機能の異常などを考えると、神経伝達物質の取り込みの亢進がアストロサイトの増殖・発達を抑制することで、アストロサイトが持つニューロン保護機能(HSP27によるERストレスからの保護など)が低下し、神経回路の異常・アストロサイト減少による脳容積の減少につながると考えられないでしょうか。精神遅滞とニューロンの関係は、脳機能イメージングなどでよく調べられる分野ですが、アストロサイトなどのグリア細胞まで含めた研究が進むことを願っています。
注:グリア細胞とは
主にニューロンの保護や栄養供給などを担う細胞の総称で、アストロサイト・オリゴデンドロサイト・ミクログリアの三種類が存在します。アストロサイトはニューロンの十倍もの数で存在し、神経伝達の調節やその他情報伝達に積極的に関わっていると、最近になって考えられています。
参考図書:脳科学と発達障害(榊原洋一著 中央法規)